こんにちは、柴犬アナリストです。
最近の米国株は、4月のいわゆる “トランプショック” 以降、右肩上がりの展開が続いています。過去の下落局面でも積立投資を継続してきた方は、現在かなりの含み益を抱えているのではないでしょうか。
しかし「株式市場は永遠に右肩上がり」ではありません。歴史的に見ると、株価が下落・暴落しやすい季節(シーズナリティ)が存在します。特に9月は株価が最も下がりやすい月として知られ、さらに10月には「ブラックマンデー」「リーマンショック」など歴史的な大暴落も発生しています。
このブログを読むことで、急激な株価の下落に直面した際にも「これは季節性による一時的なものかもしれない」と冷静に判断できるでしょう。あらかじめ株式市場の季節性を理解しておくことで、メンタル面を安定させ、長期投資における戦略をより堅実に進めることが可能になります。
株価の季節性と9月のリスク
株式市場には季節性(シーズナリティ)があり、パフォーマンスが落ち込みやすい時期があります。例えば、2月〜3月の春先や、8月〜9月の夏から秋にかけての時期は、過去のデータから見ても株価が不安定になりやすい傾向があります。
実際に、ブルームバーグが2024年に発表した過去5年間のS&P500の月別パフォーマンス(騰落率)を示すグラフでは、特に9月の平均パフォーマンスがマイナス約4%と、最も成績が悪い月であることが示されています。
さらに現在の米国市場では、9月に利下げがあるかどうかを巡って投資家心理が非常に敏感になっています。まだ明確な決断はされていないものの、利下げの可能性は見込まれています。しかし、たとえ利下げが実施されたとしても、その内容次第では市場が混乱し、株価が下落・調整局面に入るリスクも十分に考えられます。

VIX指数とは?株式市場の「恐怖指数」
株式市場の季節性とあわせて知っておきたいのが、VIX指数(恐怖指数) です。
VIX指数とは、米国の代表的な株価指数である S&P500のオプション取引から算出される「今後30日間の株価変動予想(ボラティリティ)」を示す指数 です。
- VIX 15以下:投資家は比較的安心しており、市場は安定している状態。
- VIX 20〜30:投資家がやや警戒しており、市場は不安定になりやすい状態。
- VIX 30以上:市場は非常に不安定で、投資家の恐怖・警戒感が強い状態。パニック売りや急激な価格変動が起こる可能性が高いです。
そのためVIX指数は「投資家心理を表すバロメーター」とも呼ばれ、株価下落時に大きく上昇する特徴があります。
例えば、今年4月に起きたトランプショックでは、株式市場は大混乱に陥り、VIX(恐怖指数)は60まで急上昇しました。その後、市場は徐々に落ち着きを取り戻し、8月には少しずつ下がり、現在は14〜16前後で推移しています。一見すると、今は市場が安定していて安全に見えます。しかし、VIXの数値が低いからといって、投資家心理が完全に安心しているわけではないことも覚えておきたいポイントです。市場は突然変動する可能性があるため、常にリスク管理が重要です。

このグラフをご覧いただくと一目瞭然ですが、過去1990年から2024年までのVIX指数の推移を見ると、例年この時期8月以降にVIXが上昇しやすい傾向(警戒シグナル)が確認できます。さらに、今年2025年のトランプショック時のVIXの動きも、過去の平均的なトレンドとほぼ同じパターンを描いています。つまり、現在は落ち着いて見えるものの、9月以降は市場が不安定化するリスクが十分に考えられるのです。株式市場は一見安定しているように見えても、VIXが歴史的に上昇しやすい局面に差し掛かっている点を意識して、投資判断を行う必要があります。

参考情報 : 上記の VIX 季節性に関するグラフは、Volatility Low in? VIX Historically Rises to an October Peak より確認できます。
株価が下落した時はどうする?
まず大切なのは、決してパニックにならないことです。この記事を読んでいる方の多くは、長期投資や投資信託での積立投資をされていると思います。株価の下落は決して気持ちの良いものではありませんが、私たちが目指しているのは今年や来年の短期的なリターンではなく、10年・20年・30年先を見据えた資産形成です。
逆に考えれば、もともと割高だった株価が下落することで、割安に買えるチャンスとも捉えることができます。下落しているからといって様子見に徹するのは、むしろもったいないと私は思います。
あの “投資の神様” ウォーレン・バフェット氏も、
“Be fearful when others are greedy, and be greedy when others are fearful”
「他人が貪欲なときは恐れ、他人が恐れているときは貪欲であれ」“Buy When Blood Is Running in the Streets”
「買い時は、通りに血が流れているときだ。」
とよく言っています。
そのため、長期投資や積立を行っている方は基本的に何も変えず、淡々と積み立てを継続するのが良いでしょう。場合によっては、普段より少し多めに購入することも有効です。
実際に、2025年のトランプショック時に「チャンス」と判断して買い向かった投資家は、現在大きく資産を増やしているケースもあります。あらかじめ市場の状況や流れを理解してリスクマネジメントをしておくことで、冷静に判断し、追加購入という前向きな行動につなげることができるのです。
個人的な見解:市場の楽観ムードに潜むリスク
ここから先はあくまで個人的な意見であり、必ずしも正しいとは限りません。
現在の市場はかなり楽観的なムードが広がっており、VIXは14前後と低水準を維持しています。さらに、ジャクソンホール会議後には、パウエル議長の利下げの可能性が示唆されたことにより、株価が大きく上昇し、一見するとすべてが順調に進んでいるようにも見えます。しかし、過去のVIXの動きや株式市場の季節性(シーズナリティ)といった、いわゆるデータドリブンなセオリーに基づいて考えると、これから市場に嵐が訪れる可能性も否定できません。私はその点を踏まえて、一定の警戒感を持ちながら相場を見ています。
もう少し深く学びたい方には、先ほど紹介したバフェット氏の投資方法に関連する書籍をおすすめします。私自身も実際に購入して読みましたが、とても参考になりました。特に「投資信託を通じて米国株投資の視野を広げたい」という方には、『いちばんカンタン!米国株の超入門書』 が分かりやすくて実践的でおすすめです。
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本日の内容はこちらで以上です。最後まで読んでいただきありがとうございます。