こんにちは、柴犬アナリストです。
ジャクソンホール会議を終え、市場の空気は一変しました。今回は、ここ一週間の米国株市場で起きた主な動きをまとめてレポートします。
米国市場の概要 & イベント
2025年8月22日(日本時間23:00)に米国で開催されたジャクソンホール会議では、今後の経済見通しや9月の利下げの可能性に投資家の注目が集まりました。FRBのパウエル議長は、利下げについて明確な断言は避けつつも、9月に利下げの可能性を示唆する発言をしました。この発言を受け、S&P500やNASDAQは1%以上上昇するなど、市場は一気に活気づきました。
ジャクソンホール会議までの背景
これまでの経済環境を振り返ると、今年4月にトランプ政権が発表した関税政策がインフレを引き起こす懸念があり、FRBは利下げを見送ってきました。しかし、7月末には5月・6月の雇用統計の大幅な修正が発表され、労働市場の冷え込みが懸念される状況となりました。このため、インフレ指標は依然として高止まりしているものの、雇用統計の下方修正を受けて、9月の利下げの可能性が高まったと言えます。
今後の注目ポイント
ジャクソンホール会議後の株価は上昇しましたが、来週には半導体市場を牽引する大手企業、エヌビディアの決算発表が控えています。決算内容次第では、株価が調整局面に入る可能性もあり、引き続き市場を注視する必要があります。
S&P500 指数の推移
こちらは、今週(月曜日から金曜日)のS&P500の動きを示したチャートです。ジャクソンホール会議を前にして、月曜日から木曜日にかけてはリスク回避の動きが強まり、株価は徐々に下落傾向となりました。しかし、金曜日の日本時間23時、パウエル議長が利下げの可能性を示唆した発言を受けて、株価は一気に上昇し、S&P500は6,400ポイント台まで回復しました。

S&P500 ヒートマップ、セクター別
全体的に株価は上昇していますが、S&P500では主にハイテク銘柄 (MSFT, NVDA, AAPL, AMZN, META, GOOG, TSLA)が買われる一方、ディフェンシブセクター(Consumer Defensive)ではやや売りが目立ちます。今週の下落・上昇のどちらの局面でも、指数を動かすのは大型ハイテク銘柄であることがわかります。そのため、来週発表予定のエヌビディアの決算は、S&P500指数全体に影響を与える可能性があり、個別銘柄だけでなく、米国ETF、投資信託を保有している投資家にとっても非常に重要なイベントです。

S&P500セクターマップを見ると、金曜日の株価パフォーマンスではハイテク関連銘柄が特に買われていることがわかります。また、利下げ期待が高まる中で、不動産(REIT)関連銘柄も先行して買われる動きが見られました。逆に、もし9月の利下げが見送られた場合は、これらの銘柄は逆方向に動く可能性が高いと考えられます。

ドル円為替の動き
金曜日のジャクソンホール会議の影響で、ドル円は大きく円高に進みました。もし9月の利下げが確定して発表されれば、さらに円高が進む可能性があります。日本から米国株に投資している多くの投資家にとって、円高は株価自体は上昇しても、ドル建て資産が減少するリスクを伴います。そのため、為替リスクも意識した投資判断が重要です。

ゴールドの動き
利下げが実施される可能性が高い場合、ゴールドは上昇しやすい傾向にあります。通常、利上げ局面では金融株や債券が上昇し、ゴールドは下落しやすいですが、今回はその逆の動きが見られ、金曜日にはゴールド価格が一時的に上昇しました。ゴールドは、米国株の下落リスクに備えたヘッジ資産としても活用できるため、ポートフォリオの安定化を考える上で注目されます。

米国株、今後の見通し
今後の米国株市場の見通しについては、断言はできませんが、短期的な調整が来る可能性があります。以前、当ブログでVIX(恐怖指数)に関する記事も執筆していますので、リスク管理や相場の波を理解する上で、そちらも併せてご覧いただくことをおすすめします。
本日の内容はこちらで以上です。最後まで読んでいただきありがとうございます。